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子宮頸がん放射線治療用腔内スペーサーの医工連携による開発

企業名 有限会社ディップ

事例概要・取組内容・参入分野

これまでの子宮頸がん放射線治療

子宮頸がんに放射線を照射する際に、直腸や膀胱などの近傍する正常臓器にも放射線があたってしまい、被ばくの副作用が発生するリスクがあった。

取組内容

群馬大学大学院医学部大野教授の案で適した形状のスペーサーを腟部に挿入することで放射線治療範囲から正常臓器を遠ざける機器を開発した。

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製品の特長

外部放射線治療時にリスク臓器への距離を保ち、ターゲットに適切な位置決めを行うことができる。

①正常組織に対するスペーサーの役割
②ガフクロミックフィルムをはさむことで放射線量比較可能
③位置決めマーカー内臓により平均ずれ量確認可能

取組のきっかけ

4歳の甥が感染症に苦しみ、わずか1週間で亡くなるのを目の当たりにした。
この経験から製造業者として何かできることはないか、と考え医療分野で何でもいいから製造面で貢献しようと決めた。
そんな折、群馬県工業振興課から「群馬大学医学部で子宮頸がん放射線治療」に関するニーズを公開され、
それに対するシーズをもっている企業を公募した。そこに飛び込んだことが医療機器参入のきっかけとなった。

苦労したこと・成功要因

開発にあたって群馬県の医工連携補助金を利用しようと考えた。しかし、子宮頸がんに対する知識は全くなかったため群馬大学医学部の図書館に数日こもり、「子宮頸がん 放射線治療」で検索のかかった一般書、専門書、論文を全て読み漁って申請書を書き上げた。その甲斐あって子宮頸がんに関しての知識は相当得られた。
医工連携に当たっては、医学の立場と工学の立場での折り合いが難しい、という話はよく聞くが、子宮頸がんのことを相当勉強したためある程度同じ目線で先生と話をすることが出来たのは大きかったように感じる。
さらに、私社長自らが打ち合わせをして、開発して、改善して、汗を流したのが功を奏したように感じる。
前例のない新規製品に対して、コストも、開発期間も、売上予想もたたないので、業務として期限を決めて成果を求めてしまうと完成まで至らなかったように感じる。
近日中に医療機器として上市することが決まっている。

 

有限会社ディップ様の施策活用等についての県担当者からの追記

 群馬大学医学部附属病院のニーズに基づく製品開発は、新医療機器として承認されまもなく上市される予定とのことです。同社は医療機器製造業登録を行い、医療機器メーカーと連携した製品開発を行うなど異業種参入のモデルケースとなっています。
 県の施策についても、ニーズマッチング、人材育成、専門展示会出展支援等を積極的かつ効果的に活用頂いている印象です。今後もさらなる飛躍をご期待いたします。